輪投げをリハビリに使う方法|目的別のやり方と難しさの調整のコツ
「輪投げを機能訓練に取り入れたいけれど、どんな目的で、どう進めればいい?」と考えていませんか?
輪投げは、介護施設やリハビリの現場で、手を伸ばす・狙う・放すといった動きの練習に使われている道具です。遊びの楽しさがあるので、繰り返しの多い訓練でも続けやすいのが特長です。
この記事では、リハビリで輪投げを使うときの主な目的と、目的別のやり方を紹介します。難しさの調整のしかたや、高齢者の方と行うときの注意点もまとめました。
実際の訓練内容は、利用者さん一人ひとりの体の状態によって変わります。医師や理学療法士・作業療法士などの評価と指示を優先し、この記事はその中で使える工夫の一覧としてご覧ください。
編集部
リハビリの輪投げは手を伸ばして放す動きの練習に使われる
リハビリで輪投げが使われる理由は、目標に向かって手を伸ばし、狙ったところで放す動きを繰り返せるからです。遊びの楽しさがあるので、同じ動きを何度も続けやすくなります。
作業療法士が書いた施設のブログでは、輪を入れる位置を変えながら手を伸ばす動きを繰り返す方法が紹介されています。麻痺のある側の腕や手の動きと、それに伴う体の動きを引き出す道具という位置づけです。
また、立って・座って・寝た姿勢でもできるため、体の状態に合わせて段階的に難しさを変えやすい点も挙げられています。
レクリエーションとの違い
レクリエーションの輪投げは、みんなで楽しむことや交流が主な目的です。リハビリで使う場合は、「どの動きを練習するか」を先に決め、姿勢や輪の位置、本数をその目的に合わせて組み立てます。
同じ道具でも、目的をはっきりさせることで、記録や振り返りがしやすくなります。
輪投げをリハビリに使うときの主な目的
施設のリハビリ職のブログなどでは、輪投げを使う目的として、次のようなものが挙げられています。
| 目的 | 輪投げで練習する動き |
|---|---|
| 腕や手の動き | 輪に手を伸ばす、つかむ、狙った所で放す |
| 座った姿勢のバランス | 体を前や横に傾けて手を伸ばし、元の姿勢に戻る |
| 立った姿勢のバランス | 立ったまま重心を移しながら投げる |
| 目と手の協調・集中 | 的を見て距離を測り、ねらって投げる |
| 意欲・交流 | 入った喜び、点数や記録の変化、ほかの方との会話 |
柔道整復師が書いた別の施設のブログでは、筋力、バランス、協調性、関節の動く範囲の維持や改善が挙げられています。ゲーム性による満足感や、ほかの方との共感も期待できるとしています。
どの目的を優先するかは、利用者さんの状態と目標によって変わります。担当の専門職と相談して決めましょう。
目的別の輪投げリハビリのやり方
ここでは、施設で紹介されている工夫をもとに、姿勢ごとのやり方を紹介します。
座ったまま行うやり方
椅子や車椅子に座ったまま、目の前の的に向かって輪を投げます。座った姿勢が安定しない方は、ひじ掛けのある椅子を使い、職員がそばについて行います。
ある施設の事例では、ベッドの端に座る姿勢で輪投げの練習を続けた方が紹介されています。以前は支えが必要でしたが、支えなしで約10分座って練習できるようになったそうです。
慣れてきたら、動きの種類を増やしていきます。的を左右に置いて体をひねりながら投げる、職員が投げた輪を受け取る、輪を右から左へ持ち替えるといった動きです。車椅子の方を含めて並ぶときの配置は、車椅子の方も一緒に投げるときの並べ方と見守りも参考にしてください。
立って行うやり方
立って行う場合は、転倒しないよう、手すりやテーブルのそばで行い、職員が横に立ちます。最初は両足を少し開いた安定した姿勢で、近い的から始めましょう。
慣れてきたら、足の位置を変えたり、的を左右に置いて重心を移しながら投げたりすると、立った姿勢での体の調整を練習できます。
輪を入れる・置く動きから始めるやり方
投げるのが難しい方は、輪を的の棒に直接入れる「輪入れ」から始めます。手の届く位置に的を置き、輪をつかんで棒に通すだけでも、手を伸ばしてつかんで放す一連の動きを練習できます。
難しい部分は職員が手を添えて手伝い、できる部分を少しずつ増やしていきましょう。
輪投げリハビリの難しさを調整するポイント
輪投げは、条件を少し変えるだけで難しさを細かく調整できます。目標を小さく区切り、できたら1段階ずつ上げるのが続けるコツです。
| 変える条件 | やさしくする | 難しくする |
|---|---|---|
| 姿勢 | 寝た姿勢・座った姿勢 | 立った姿勢 |
| 的までの距離 | 手が届く位置・近い距離 | 少しずつ離す |
| 的の位置 | 体の正面 | 左右・斜め・高い位置 |
| 輪 | 軽くやわらかい輪 | 少し重い輪 |
| 投げ方 | 下から放る・入れるだけ | 決めた的を狙う、本数や時間を決める |
距離の決め方は、高齢の方の体力に合わせた距離の決め方で紹介しています。リハビリでは「全部入る」より「半分ほど入る」くらいの難しさにすると、狙う動きの練習になりやすくなります。
1回の訓練の流れの例
個別の機能訓練で20分ほど行う場合の一例です。時間と回数は、担当の専門職の指示に合わせて変えてください。
| 時間の目安 | 内容 |
|---|---|
| 3分 | 肩や腕、手首を回す準備運動 |
| 5分 | 座ったまま正面の的へ輪を入れる・投げる(5本×2回) |
| 5分 | 的を左右に置き、体をひねりながら投げる |
| 5分 | 状態がよければ、手すりのそばで立って投げる |
| 2分 | 入った本数と様子を記録し、本人と一緒に振り返る |
はじめの数回は、無理のない姿勢と距離で「できた」体験を重ねることを優先しましょう。
記録をつけると変化がわかる
日付、姿勢、距離、入った本数、続けられた時間を記録しておくと、少しずつの変化が見えます。点数が上がったことを本人と一緒に確かめると、次の練習への意欲にもつながります。
グループの機能訓練で使う場合
何人かで一緒に行う機能訓練では、1人ずつ順番に投げ、ほかの方は応援する形にすると、待ち時間も参加の時間になります。チーム対抗にすると、見ている方も声を出して盛り上がります。
体の状態に差があるグループでは、投げる位置や姿勢を人ごとに変えても構いません。全員が同じ条件にそろえるより、それぞれが自分の目標に挑戦できる形にすると、続けやすくなります。
リハビリで輪投げを行うときの注意点
楽しさがあるぶん、つい夢中になって無理な姿勢をとってしまうことがあります。次の点に気をつけましょう。
- 内容と負荷は、医師やリハビリ職の評価と指示に沿って決める
- 立って行うときは、手すりやテーブルのそばで、職員が横につく
- 落ちた輪を本人が拾いに行かないよう、職員が回収する
- 痛みや疲れの様子があれば、すぐに休む
- 麻痺のある側を使う練習は、無理に力を入れさせない
床に落ちた輪につまずかないよう、練習する場所の周りは片づけておきます。
リハビリに使う輪投げ用具の選び方
リハビリ用品や介護用品として売られている輪投げには、いろいろな種類があります。おもちゃのような軽いセットから、大会でも使える公式の台までさまざまです。毎日のように使うなら、輪の重さと材質、台の安定、点数の有無を見て選びましょう。
- 輪(リング):力の弱い方でもつかみやすく、当たっても痛くない、軽くやわらかい素材
- 台:輪が当たっても倒れにくく、ぐらつかない
- 点数:1から9の数字があると、記録や目標が立てやすい
Tuloopの「EVERY」は、安全に配慮したモデルです。木製の太い支柱と、本体の上段にコーナーガードと安全バーが付いています。付属の茶色い輪は、赤・青・黄の輪より少し軽くやわらかく、力の弱い方にも投げやすくなっています。
国際輪投げ協会の公式モデル「PRO」は、スチール製の台と発泡PVCの輪で、点数を使ったゲームや大会にも使えます。おもちゃの輪投げとの違いは100均や市販のおもちゃとの違いで比べています。
購入前に使い心地を確かめたい場合は、PROを1週間3,000円でレンタルする方法もあります。お届け時の送料は料金に含まれ、返送時の送料はお客様負担です。
輪投げリハビリでよくある質問
認知症の方にも使えますか?
使えます。「輪を棒に入れる」というわかりやすい動きなので、ルールを覚えていなくても取り組めます。説明は短くし、職員が見本を見せてから始めると安心です。
1回にどれくらい行えばいいですか?
時間や回数は、本人の体力と担当の専門職の指示で決めます。疲れが出る前に終えるくらいがちょうどよく、短い時間でも続けることが大切です。
個別の訓練とみんなでのレクはどちらがいいですか?
目的によって使い分けます。特定の動きを練習するなら個別で、意欲や交流を大切にするならみんなで行うのがおすすめです。同じ輪投げ台を両方に使えます。
まとめ
輪投げは、手を伸ばして狙って放す動きを、楽しみながら繰り返し練習できるリハビリの道具です。
- 目的(腕や手の動き、座位・立位のバランス、目と手の協調、意欲)を先に決める
- 座位・立位・輪入れなど、姿勢とやり方を体の状態に合わせて選ぶ
- 距離・的の位置・輪の重さ・姿勢で、難しさを1段階ずつ調整する
- 内容は医師やリハビリ職の評価と指示に沿い、転倒と疲れに気をつける
- 毎日使うなら、軽くやわらかい輪と倒れにくい台を選ぶ
編集部